
新しいキャリアへの一歩を踏み出すことは、大きな喜びと同時に、様々な手続きへの不安も伴うものです。特に、退職の手続きで必ずと言っていいほど耳にする「退職願」「退職届」、そして場合によっては「辞表」。これらの違いが分からず、戸惑っている方も多いのではないでしょうか?
「どちらを提出すればいいの?」
「提出する順番はあるの?」
「退職理由はどのように書けばいいの?」
「いきなり退職届を出しても問題ない?」
など、疑問は尽きないかもしれません。
この記事では、退職願・退職届・辞表の違いから書き方、提出方法までを徹底解説。あなたのスムーズな退職と、その後の転職成功を力強くサポートします。退職は終わりではなく、新たなスタートのチャンスです。この記事を参考に自信を持って次のステップに進みましょう。
目次
1.退職願・退職届・辞表の違い
退職の手続きを進める上でまず理解しておきたいのが「退職願」「退職届」「辞表」の違いです。これらの書類は、提出する目的や法的効力、提出のタイミングなどが異なります。それぞれの違いをしっかりと把握し、適切な手続きを進めましょう。
1-1. 退職願・退職届・辞表の違い比較表
退職願 | 退職届 | 辞表 | |
---|---|---|---|
目的 | 退職の意思を会社に伝える(お願い) | 退職の意思を会社に伝える(通知) | 役員が辞任する際に提出 |
法的効力 | 撤回可能(会社の承諾前) | 原則撤回不可 | 原則撤回不可 |
提出のタイミング | 退職の意思を固めた後、上司に相談する際 | 退職日が確定した後 | 辞任が決まった後、株主総会などで承認を得る前 |
提出先 | 直属の上司 | 人事部など会社が指定する部署 | 取締役会など |
提出方法 | 手渡し | 手渡しまたは郵送(会社の規定による) | 手渡しまたは郵送 |
1-2. 退職願とは?
退職願は、従業員が会社に対して退職の意思を伝えるための書類です。「お願い」という性質を持つため、法的な効力は弱く、会社の承諾を得るまでは撤回が可能です。
提出のタイミングは、退職の意思を固めた後、まず直属の上司に相談する際に提出するのが一般的です。提出方法は手渡しが基本となります。退職願は、退職の意思を伝えるための最初のステップであり、上司との面談を通して退職日などを具体的に詰めていくことになります。
1-3. 退職届とは?
退職届は、従業員が会社に対して退職の意思を正式に通知する重要な書類です。「通知」という性質を持つため、原則として撤回はできません。
提出のタイミングは、上司と相談し退職日が確定した後になります。提出先は、人事部など会社が指定する部署であることが多いです。提出方法は手渡しが基本ですが、会社の規定によっては郵送も認められています。
1-4. 辞表とは?
辞表は、取締役など会社の役員が辞任する際に提出する書類です。退職届と同様に「通知」という性質を持ち、原則として撤回はできません。
提出のタイミングは、役員本人が辞任を決めた後、取締役会などで承認を得る前になります。提出先は、取締役会など、役員が所属する組織の上層部となります。提出方法は手渡しまたは郵送が一般的です。辞表は、役員がその役職から退くことを正式に表明する書類です。
1-5. 退職願と退職届は基本的に両方とも提出が必要
一般的には退職願と退職届の両方を提出する必要があります。
退職願は、退職の意思を伝える最初のステップとして上司に提出し、退職日などの具体的な条件を話し合います。その後、合意に至った内容に基づいて退職届を作成し、正式に会社に提出するという流れが一般的です。
つまり、2つは提出するタイミングと目的が異なり、どちらか一方だけを提出すれば良いというわけではありません。
1-6. 退職願と退職届は同時に出すものではない
退職願と退職届を同時に提出するのは適切ではありません。退職願は退職の意思を伝えるためのもので、退職日などの条件は未定です。
退職届は退職日が確定した後に提出するものです。そのため、2つを同時に提出することは手続きの流れとして不自然であり、混乱を招く可能性があります。
一方で、制作会社やスタートアップの会社などの中には、「どちらか指定する方だけを提出すればOK」というところもあります。ケースバイケースとなるので、必ず自分の所属する会社に確認を取ってから書類の提出を行うようにしましょう。
2.退職願・退職届の書き方と例文
退職願と退職届の適切な書き方を理解し、退職手続きをスムーズに始めましょう。2つの基本的な構成要素は同じですが、一部、文言が異なる点に注意し適切に作成しましょう。縦書き・横書きの例文をそれぞれご紹介します。
- 退職願・退職届の例文(縦書き)
- 縦書きの退職願・退職届の構成と書き方
- 退職願・退職届の例文(横書き)
- 横書きの退職願・退職届の構成と書き方
- 退職願と退職届の文言の違い
- 退職理由は具体的なほうが望ましい
2-1. 退職願・退職届の例文(縦書き)
退職願・退職届テンプレート(縦書き)ダウンロード
退職願テンプレート | 退職届テンプレート |
2-2. 縦書きの退職願・退職届の構成と書き方
縦書きの退職願と退職届は、以下の要素と順番で構成されています。
- タイトル:「退職願」「退職届」と記載
- 書き出し:「私儀(わたくしぎ)」、あるいは「私事(わたしくごと)」と2行目下揃えで記載
- 本文:退職理由と退職希望日(退職届の場合は退職確定日)を記載
- 日付:提出日を記載
- 署名:自分の所属先と氏名を記載し捺印
- 宛名:会社名と代表取締役社長名を記載(役職名は省略しない)
本文は簡潔に、退職の意思と理由、希望する退職日を記載します。退職理由は「一身上の都合」とするのが一般的ですが、より具体的な理由を記載したほうが望ましいです。こちらは後述します。
用紙のサイズはB5かA4、封筒は白で、郵便番号の枠が入っていないものを選ぶことが一般的です。上司に封筒を渡した後の持ち運びのしやすさ等から、特に指定がなければ小さめであるB5サイズを推奨します。
まれに「封書ではなく、データで送付してほしい」という要望があるケースもありますので、提出方法や形式は必ず確認しましょう。
2-3. 退職願・退職届の例文(横書き)
退職願・退職届テンプレート(横書き)ダウンロード
退職願テンプレート | 退職届テンプレート |
2-4. 横書きの退職願・退職届の構成と書き方
横書きの退職願と退職届も、記載内容は縦書きと同じですが、記載の順番が異なります。
- タイトル:「退職願」「退職届」と記載
- 日付:右揃えで提出日を記載
- 宛名:左揃えで会社名と代表取締役社長名を記載(役職名は省略しない)
- 署名:右揃えで自分の所属先(例:デザイン室、制作部 など)と氏名を記載し捺印
- 書き出し:右揃えで「私儀(わたくしぎ)」、あるいは「私事(わたしくごと)」と記載
- 本文:退職理由と退職希望日(退職届の場合は退職確定日)を記載
- 最後:右揃えで「以上」
一般的には、退職届や退職願は縦書きかつ、手書きで作成します。
クリエイティブ関連企業の場合、最近は横書きやPCで作成したデータでも受理されるケースは増えていますが、会社によっては再提出となる可能性もあるため注意しましょう。会社の指定フォーマットがある場合は、必ずそちらを使用してください。
2-5. 退職願と退職届の文言の違い
退職願 | 退職届 |
---|---|
退職させていただきたく、お願い申し上げます。 | 退職いたします。 |
退職願は「〜させていただきたく存じます」のような依頼形を、退職届は「〜いたします」という断定形を文末で用います。
先述した通り、これは2つの性質が異なるためです。退職願は会社の承認を得る前段階で提出するのに対し、退職届は会社から承認を得た後、または退職日が確定した後に提出するため、上記のような文言の違いがあります。
2-6. 退職理由は具体的なほうが望ましい
退職願に記載する退職理由は、「一身上の都合」とするのが一般的ですが、具体的な理由を記載することで、より丁寧な印象を与えることができます。ただし、人間関係の不満、給与への不満などネガティブな理由を記載するのは避けましょう。
以下に、ポジティブな表現を用いた退職理由の例文をいくつかご紹介します。
キャリアアップの場合
「これまで培ってきた経験を活かし、新たな分野に挑戦することで更なるスキルアップを目指したく、退職を決意いたしました。」 |
家庭の事情の場合
「家庭の事情により現在の勤務体制を維持することが困難となり、誠に不本意ではございますが退職させていただきたく存じます。」 |
体調不良の場合
「体調不良のため、十分なパフォーマンスを発揮することが難しくなり、療養に専念するため退職させていただきたく存じます。」 |
これらの例文を参考に、自身の状況に合わせて適切な表現を選びましょう。
3. 退職願・退職届の封筒への入れ方・封の仕方
退職願・退職届を封筒に入れる際は、書類の縦の長さが1/3程度になるように三つ折りにします(左画像のように赤い線部分で折る)。
封筒の表中央に「退職願」または「退職届」と記載し、裏面左下に所属部署と氏名を記載します。封を閉じたら中央に「〆」と記載します。
4.提出時の注意点とよくある質問
退職願・退職届を提出する際には、いくつかの注意点があります。また、よくある質問についてもまとめましたので参考にしてください。
- 上司へ退職の伝え方
- 会社都合で退職する場合は退職届は不要
- 退職願・退職届の提出タイミングは?いつまでに提出すべき?
- 退職願を出さずに退職届だけ提出しても良い?
- いきなり退職届を出してもいい?突然辞める場合の退職届の書き方
- 退職願だけで退職できる?
4-1. 上司へ退職の伝え方
退職願を提出する前に、まずは直属の上司に口頭で退職の意思を伝えるのがマナーです。
伝えるタイミングは、業務の都合を考慮し、落ち着いて話せる時間帯を選びましょう。伝える場所は、個室など周囲に聞かれない場所が望ましいです。丁寧な言葉遣いを心がけ、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
このタイミングで退職願や退職届の提出方法について質問を行い、上司の指示に従って退職願・退職届を作成・提出するとその後がスムーズです。
4-2. 会社都合で退職する場合は退職届は不要
会社都合による退職(解雇、倒産など)の場合は、従業員から退職届を提出する必要はありません。会社から退職に関する書類が発行されるため、それに従って手続きを進めることになります。
会社都合退職であるにもかかわらず、会社から自主退職を促され、退職届の提出を求められるケースがありますが、これは不当な行為である可能性があります。その場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談することをおすすめします。
4-3. 退職願・退職届の提出タイミングは?いつまでに提出すべき?
退職願は退職の1〜2ヶ月前に、退職届は退職日の2週間前までに提出するのが一般的です。
ただし、会社の就業規則で提出期限が定められている場合は、それに従うようにしましょう。就業規則に明確な記載がない場合は、上司と相談して提出時期を決定するのが望ましいです。
4-4. 退職願を出さずに退職届だけ提出しても良い?
法的には退職届のみの提出でも退職は成立します。しかし、事前に退職の意思表示をせずに退職届のみで辞めようとする場合、会社とトラブルに発展する場合があります。
円満退職のためには、事前に上司に退職の意思を伝え退職願を提出し、退職日などを話し合うのが望ましいです。
4-5. いきなり退職届を出してもいい?突然辞める場合の退職届の書き方
前項でお伝えしたように、やむを得ない事情がない限りいきなり退職届を出すのは避けるべきです。しかし、どうしても突然辞めざるを得ない場合は、退職届にその理由を明記し、できる限り丁寧に説明するようにしましょう。
4-6. 退職願だけで退職できる?
退職願はあくまで退職の意思を伝えるものであり、それだけで退職が成立するわけではありません。会社が退職を承諾することで退職が成立するため、承諾後は退職届も提出する必要があります。
5.退職後の手続きと転職活動について
退職の手続きが終わったら、その後の手続きも必要に応じてするようにしましょう。退職後に転職先が決まっていない場合、その期間中は無収入になりますが、手続きすることで失業手当を受給できます。
特に、退職後に本格的に転職活動を始める予定の方は以下を参考にしてください。
5-1. 退職後の手続き
退職後の手続きとして以下に挙げるものがあります。
- 離職票の受け取り: 雇用保険の手続きに必要な書類です。会社から発行されます。
- 雇用保険の手続き: 失業手当を受給するために必要な手続きです。ハローワークで行います。
- 年金・保険の手続き: 国民年金や国民健康保険への切り替え手続きが必要です。市区町村役場で行います。
これらの手続きを行うことで、退職後と再就職までの期間も安心して過ごせます。
ただし自己都合退職の場合、失業手当を受給するまでに2~3ヵ月の給付制限期間がある点に注意しましょう。その期間は無収入になるため、事前に生活費などを確保しておく必要があります。
給付制限期間はハローワーク認定の職業訓練を受けることでなくなる場合もあります。職業訓練期間中は失業手当や交通費も受給できる可能性があるため、退職前にハローワークで確認をするのがおすすめです。
そのほか必要な手続きとして、年の途中で退職した場合は確定申告が必要になる場合もあることを覚えておきましょう。
5-2. 転職エージェントの活用
転職活動をスムーズに進めるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントを利用することで、以下のようなメリットがあります。
- 非公開求人の紹介::一般には公開されていない求人情報を得ることができます。
- 面接対策:面接の練習やアドバイスを受けることができます。
- 条件交渉の代行:給与や待遇などの条件交渉を代行してもらえます。
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6.まとめ – 退職願・退職届を正しく提出して新しいスタートを切る!転職で迷ったらユウクリへ
退職する際は、まず退職願で退職の意思を伝えて、承諾されたら退職届で会社へ退職の通知をしましょう。書く内容に大きな差はありませんが、それぞれの役割と提出するタイミングを理解して、会社とトラブルにならないように誠意を持って手続きを進めてください。
退職は人生の大きな転機であり、新しいスタートのチャンスです。この記事があなたのスムーズな退職と、その後のキャリアプランニングのお役に立てば幸いです。
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