【前編】Q.外資代理店って何?~外資系広告代理店に関する質問にお答えしました~

【前編】Q.外資代理店って何?

皆さんからのお問い合わせの中に「ガイシってどうなんですか?」という質問があります。その他にも、外資系広告代理店に関する質問を受けることもあります。そこで、今回はそれらをまとめて外資代理店経験者の方々に聞いてみました。
基本的なことから会社内部に関わるナイショの(?)話まで、多くの回答をQ&A形式で整理しました。前編の今回は、まずは基本的な仕組み、成り立ちを中心にしたQ&Aです。

Q1.そもそも外資系広告代理店て何?

実は一言に「外資系広告代理店」と言っても、いくつかの種類があります。例えば、文字通り外国資本100%で日本に設立された広告代理店。あるいは、一定割合を出資した日本企業との合弁の企業。また、日本企業と業務提携を結んでいる企業も含めて「外資」と呼ぶ場合も見受けられます。

一般的には本国の名前を名乗っていますが、資本提携後も国内企業の社名で通している企業もあります。一例として、旭通信社と第一企画が合併して国内第3位となった株式会社アサツー ディ・ケイ(ADK)。その後WPPグループと資本提携を行っています。
 

Q2.何が日本の会社と違うの?

《クリエイティブ》
クリエイティブのことに関して言えば、日本の代理店、プロダクションに比べてクリエイターの地位が高いように思われます。日本に比べて媒体料が安い欧米では、代理店が他社と差別化するためにクリエイティブを重視する傾向にあるからです。
日本国内の外資代理店はよくも悪くも日本化しているところが多いですが、本国ではクリエイティブ・ディレクターに絶大な権限を与えている企業もあります。

《フィー制度》
営業面で言うとフィー制度が最も特徴的と言えるでしょう。
1960年にオグルヴィー社がそれまで一般的であったコミッション制を固定フィーにしたことから始まりました。日本の広告代理店はメディアの手数料が売上の多くを占めるため、出来高の手数料を受け取るコミッション制がほとんどです。

フィー制では事前見積もりがベースになり経費分も含まれるため、クライアントへの提案も評価されるように努力しないと売り上げは伸びません。また経費の削減にも励まざるを得ないのです。このように、会計が明朗でコスト削減にもなることからクライアント側にも好意的に受け止められているので、日本企業にも増加の傾向が見られます。

《気風》
企業によって差はあるでしょうが、社内の雰囲気として一般的に思われている「自由な気風」は確かに存在しています。クリエイティブに関わる企業であることの自負が社内全体に漂っているようにも見えます。特に上司への発言は日本企業に比べて自由度は高いでしょう。
 

Q3.どんな会社があるの?

いくつか一般的に知名度のある会社をご紹介します。

ジェイ・ウォルター・トンプソン
世界初の広告会社として1864年にWilliam James Carltonによってニューヨークで設立され、現在もニューヨークに本社を置き90ヶ国を超える国に拠点を持っています。日本オフィスも外資系として初の広告会社として1956年に創立されました。
世界第1位のメガ・エージェンシーWPPグループに属します。

オグルヴィ・アンド・メイザー
「ブランド」と言う概念を創出したと言われている、現代広告の父David Ogilvyによって1948年に設立され、現在は世界126カ国に500以上のオフィスを構えています。日本では1995年に事業を開始しました。
メガ・エージェンシーWPPグループの中核広告会社でもあります。

マッキャンエリクソン
米ニューヨークに有ったAlfred EricksonとHarry McCannの広告会社が合併して設立されました。現在世界125カ国に展開しています。
日本においては1960年に博報堂との日本初の合弁広告会社として設立され、後にワールドワイドが株式の100%を取得しました。

ワンダーマン・インターナショナル
ダイレクトマーケティングの生みの親であるLester Wundermanにより 1958 年に設立されました。日本においては1985年に電通との合弁会社である「電通ワンダーマン」で始動し、その後WPP 100% 出資でワンダーマン・インターナショナルが新たに設立されています。

ワイデン&ケネディ トウキョウ
1982年アメリカの地方都市ポートランドでナイキをクライアントとしてDan WiedenとDavid Kennedyによって設立されたインターナショナルな広告会社です。現在ではポートランドやニューヨーク、ロンドンなど世界8都市に拠点を持っていますが、メガ・エージェンシーには属していません。

I&S BBDO
BBDOは、1928年にニューヨークで創業者4人の頭文字からネーミングされ誕生したワールドワイドの広告会社です。一方、I&Sは1947年に第一広告社として設立され、後にセゾングループのSPNが合併した広告会社。1998年にメガ・エージェンシーの1つオムニコムグループと資本提携しI&S BBDOになりました。

ビーコン・コミュニケーションズ
1976年、米レオ・バーネット・ワールドワイドの日本法人として協同広告との合弁企業として設立されました。その後レオ・バーネットが合弁を解消し、米ダーシー・マシウス・ベントン・アンド・ボウルズ、電通が資本参加してビーコン コミュニケーションズが設立されました。
現在はメガ・エージェンシーのピュブリシスに属します。

グレイ・ワールドワイド
1963年に米国グレイ アドバタイジング社と大広の合併会社グレイ大広として設立されました。後に大広との合併を解消、米国100%出資になりました。グレイグループの本社はNYにあり2005年にはWPPグループの傘下となり、現在は世界96カ国にオフィスを持っています。

他にも多くの外資系広告代理店が国内にあります。
 

Q4.似たような名前の会社が複数あるけど、どうして?

代理店部門、プロダクション部門、Web関連部門、メディアバイイングなど、本来は1社の中でセクション(事業部)として存在しているものを、分社・独立した法人にしているところがあります。そのような場合は、グループ会社で共通した名称を社名の中に使用していることが多いです。
ただし、セクション(事業部)が独立のため中規模の企業が多く、人事、総務系のバックヤードはグループ企業で1本化しています。また、各企業間での異動も、社内の部署間での異動ように行われているようです。
 

Q5.メガ・エージェンシーって?

クライアント企業のワールドワイド化、競争激化に伴い、広告会社も生き残りをかけて提携・統合を繰り返し巨大グループ化しました。大手総合広告代理店、ダイレクトマーケティング、Web広告代理店、メディアバイイング会社などを傘下に抱えています。
以下のグループが4大メガ・エージェンシーと呼ばれています。

《WPP》
英国ロンドンに本拠地を置き、世界に110ヵ所の拠点を持つ世界最大級の総合広告代理店グループ。グループ全体で165,000人を越す従業員数を擁し世界第1位の売上げを誇ります。前述の外資系企業にも多くの所属代理店が含まれています。

《オムニコム》
米国ニューヨークに本拠地を置き世界100ヶ国以上で事業展開しています。世界第2位の総合広告代理店となります。
日本国内では東急エージェンシー、博報堂とも業務提携しています。

《ピュブリシス》
フランス・パリに本拠を置いて世界108ヶ国に事業展開しています。グループ全体で64,000人の従業員数を抱えています。
日本国内では以前、電通との合弁会社を展開していました。また、2013年にオムニコムとの合併を発表しましたが2014年に撤回しました。

《インターパブリック》
本拠地は米国ニューヨークにあります。世界100ヶ国以上で事業を展開してグループ全体で49,000人にのぼる従業員数を擁しています。
日本国内では大広、スタンダード通信社と業務提携を行っています。

 

次回は仕事内容や社内の雰囲気、気になる人も多いだろう給与など、さらに一歩中に踏み込んだQ&Aです。

次回の連載予定
Q.外資代理店って何?《中編》

 

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