【ちょっと一息。趣味の教室】目を離せない!テクノロジーの進化~クリエイターなら読んでおきたい本

クリエイターに刺激を与える本を紹介している本コーナーですが、今回はクリエイター以外の人たちにもぜひ読んで欲しい本を取り上げています。今の社会に生きる私たちが目を離してはいけないニュースがいくつかあると思いますが、その1つがテクノロジーに関するものでしょう。この分野はニュースだけを追っていても状況を理解するのは困難です。このテクノロジーの進歩が何に影響を与えているのか、そして今後どんな時代になって行くのか、そんなことを少しでもお伝えできればと思います。

 

背景

今回はテクノロジー、主にAIに関する本をご紹介しようと思います。しかし、その前にその背景のお話をしたいと思います。

まず、筆者は読者の方と同じクリエイターです。つまり科学者でもエンジニアでもありませんので、言って見ればテクノロジーなど全くの門外漢です。しかし、10年ほど前から世の中を見てその進歩が気がかりになり、手近に収集できる範囲でテクノロジーの情報に聞き耳を立ててきました。
そして、その進歩のスピードに驚きながら、ますます目を離せなくなりました。

ぼんやりとアウトラインを感じられるようになった時に、「デザイナーであるならば、Webデザイナーだけでなくグラフィックデザイナーもパッケージデザイナーも皆、テクノロジーから目を離してはいけない」と学生や後輩デザイナーに言い始めました。その影響の大きさを感じたからです。
そして、自身が読んだ書籍を勧めもました。今回取り上げた3冊もその中のものです。

・目を離してはいけない3つの情報
さらに余談を重ねさせてもらいますが、現代で目を離してはいけない情報は3つあると筆者は考えています。
テクノロジー以外は、「グローバル」と「生活者」です。この2つも日々大きな変化をしているものです。

「グローバル」に関しては、情報はもちろん物流も進歩して海外と交流する業種は確実に増えています。「生活者」は、意識も大きく変化して生活スタイルが大きく変化しているのを皆さん自身も実感していることでしょう。これらについてはまた別の機会にお話ししたいと思いますが、この2つを変化せている要因にもテクノロジーが含まれています。

・凄まじい進歩
さて、テクノロジーに話を戻しましょう。

皆さんも感じていると思いますが、ここ数年驚くようなテクノロジーのニュースを見かけることが多いと思います。少し年配の人であれば、10年、20年前と比べてすごい時代になったと感じることもあるでしょう。
ついこの前まで二足歩行はロボットでは最も難しいと言われていましたが、今は走ったり、倒れたら起き上がったりしています。運転は人間にしかできない事の1つだと言われていましたが、盛んに様々な企業で自動運転を成功させています。

この先どんなことが起こるのか?人間社会への影響は?仕事を奪われてしまうのか?さらに、様々な分野で同じように急激な変化が起こっているのはなぜなのか?
そんな疑問に答えてくれるのが、以下にご紹介する3冊です。

 

目を見張る技術革新!

『機械との競争』 (著者:エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー/日経BP社)
https://www.amazon.co.jp/%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E3%81%A8%E3%81%AE%E7%AB%B6%E4%BA%89-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4822249212

2011年にMITの研究者2人によって自費出版された本で、原稿量は少なめで文字も大きいのですぐに読めてしまいますが、内容は濃く重いものです。
この本では、テクノロジーの進歩によって、これから私たちの仕事がどうなるのかを多くの実例と統計データから描いています。6年前の実例がすでに古くなっているほどテクノロジーの進歩は速いですが、充分に読み応えのある本です。

近未来の雇用激減を予測する本、TV番組は最近多いですが、大方は危機感を煽って無責任な購買や視聴を稼ぐだけのものに思えます。それに対し、本書は、この激しい進歩の中で人間に何ができるか、どうすべきか?にまで話を広げています。
また、最新情報について書かれているのが後述する『ザ・セカンド・マシン・エイジ』ですが、先だって、入門編として現状の理解を手早くするのにはこの本が最適でしょう。

ところで、私見ですがこの装丁にも触れておきたいと思います。
本書は、元々の原稿量の少なさを文字の大きさと紙の厚みで書籍の体裁に整えようとしていて、良い装丁とは思えません。読みづらいことこの上なかったです。
出版社の都合もあるのでしょうが、違う方法でもっと良い装丁にできたと思えます。本屋で思わず手に取るような、とても刺激的でカッコイイ見た目の装丁なだけに残念です。

 

なるほど!AIってそう言うことか

『ロボットは東大に入れるか』 (著者:新井紀子/イースト・プレス)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AF%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E3%81%AB%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8B-%E3%82%88%E3%82%8A%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%83%91%E3%83%B3-%E3%82%BB/dp/4781690645

『ロボットは東大に入れるか』プロジェクトは、各メディアで取り上げられ注目されましたので、ご存知の方も多いかもしれません。国立情報学研究所が中心となって2011 年から開始された『東ロボ』プロジェクトは、2021年までに東京大学入試に合格することを目標にしたものです。
http://21robot.org/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/introduce/

プロジェクトのリーダーでもある著者の新井紀子さんは、元々数学を研究していた方のようですが、その文体が明快で比喩も分かりやすく、数学やデジタルに関わる一般読者向けの本などでも人気があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%BA%95%E7%B4%80%E5%AD%90

この本は2014年時点での経過報告も含めて、一般の人にもAI研究が理解できるように書かれています。東大にAIが合格するとはどういうことか、なんでそんなことをするのかを説明する上で、AIの手助けをする人間、そして人間の賃金低下などまで分かりやすく説明してくれます。

プロジェクト自体は、2016年に大きく方向転換して東大合格への挑戦は中止となりました。AIが東大に合格するのを見てみたかった思いからやや残念に思います。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/14/news132.html

 

必読!読まずに将来は語れない

『ザ・セカンド・マシン・エイジ』 (著者:エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー/日経BP社)
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%B8-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%BD%E3%83%B3-Erik-Brynjolfsson/dp/4822250997

厚い装丁を見ると抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、文字は比較的大きめで出典紹介にもページを割いているので本文量はそれほどでもありません。そして何より、その内容にぐいぐい引っ張られて読み進められることでしょう。
現代をセカンド・マシン・エイジと位置づけ、そのデジタル技術の成果、進行状況、そして来るべき未来と人間がなすべきことを解説してくれます。

まず、今、なぜ急激な変化が起きているのかを1つの仮定として提示しています。
ムーアの法則をご存知でしょうか?やや乱暴に説明すると「コンピュータの性能は年々2倍で進歩する」と言う予測です。元はインテルのムーアが提唱しましたが、その後もデジタル技術の進歩に合わせて条件、数値を変えながら生き続けています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

そのムーアの法則に基づき倍々に進化すると、2倍、4倍、8倍、16倍、、、と進み10年で1024倍、20年では百万倍を超えます。まさにこのような指数関数的な進化が起きているのではと示しています。その際に取り上げる実例、理論の進め方はとてもリアルで説得されます。

そして、テクノロジーの経済への影響、格差問題へと話は進みます。ここでは決して一般の人間にとって喜ばしい話ばかりではありません。人間が奪われる仕事も冷静に提示しています。
しかし、本書の最大の特徴、そして読まれるべき意義が、最後にまとめられています。AIを始めとするデジタル技術に人間がどう対処すべきか、さらに具体的な政策提言も行っています。

これからの時代を作っていく人たちの1人でも多くの人に、本書を読んで欲しいと思います。人間は機械に仕事を奪われるままに黙っているほど愚かではないでしょう。

 

今回は【ちょっと一息。趣味の教室】とはならなかったかも知れませんね。しかし、たまにはこのような本にも目を通して、現代を把握して欲しいと思います。

また、当コンテンツの1つ、優クリLab for Businessでは「AI×デザイン」の特別企画も実施しました。AIの普及はクリエイターにどのような影響があるのか。どのようにAIと付き合っていけばよいのか。こちらもぜひ目を通してみてください。

【AI×デザイン特別企画】
前編:ビジネスにおけるデザインのあり方と人工知能(AI)の本質とは?

中編:AI時代にクリエイターはどう生き残る?AIとデザインの未来

後編:AI×デザインの未来とは?米国の先行事例からのヒント

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