【第三回】「フリーランスと産前産後」知っているとお得なクリエイターお金の話

国民健康保険に加入している人も、2019年4月1日から「産前産後期間」に「国民年金保険料」が「免除」になりました。通常、個人事業主やフリーランスの方は、国民健康保険への加入が多数派かと思いますが、以前までは産前産後の休みの「出産手当金」の支給がない、さらに「国民年金保険料の免除」もない状態で、フリーランスには厳しい状況でした。今回は、この「国民年金保険料の免除」について解説します。

■こちらも併せてご覧ください
【第一回】「フリーランスと社会保障」知っているとお得なクリエイターのお金の話
【第二回】「フリーランスと年金」知っているとお得なクリエイターのお金の話

出産における「国民健康保険」と「社会保険」との違い

通常『正社員・パート・派遣』などの雇用形態に関わらず、企業に雇用され、かつ労働時間などの条件を満たせば、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できます。

社会保険のうち、健康保険に加入している場合、産休期間中に「出産手当金」を受給できます。また、厚生年金については、産休中やその後の育休中には「厚生年金保険料」が免除されます。一方の国民健康保険は、今まではこれらの保障がなく、国民健康保険との社会保障の手厚さが大きく異なっていました

また、国民保険・社会保険共通の制度として、出産時にもらえる「出産育児一時金」があります。これは、出産費用の一部(1児につき42万円)が支給される制度です。
※利用されている医療機関が「産科医療補償制度」を導入していない場合は40万4,000円となります。
参考:出産及び、産休・育休に関する制度

「社会保障の差」を埋める働き方改革の支援制度

現在は働き方改革が進行している中とあって、多様な働き方も増え認知されてきています。そのため、以前よりも個人事業主やフリーランスという働き方を選択する人が増加傾向にあります。

フリーランスは、自分の裁量で自由に働ける魅力的な部分を持つ一方で、正社員よりも「社会保障制度」が手薄な点がデメリット。そこで、このデメリットを少しでも解消するべく、社会的にもフリーランスを支援する動きが高まってきています。

その支援策の一つとなったのが、2019年4月1日以降に個人事業主やフリーランスが出産した場合(=国民健康保険加入者)も、出産前後の一定期間、「国民年金保険料」が「免除」になる制度なのです。これまでは、出産で仕事を休んでいても、その間の国民年金保険料を払い続ける必要があったので、これはフリーランスの人にとって朗報と言える制度でしょう。

「国民年金保険料」免除は、出産日が2019年2月1日以降

そして、少し複雑ですが「免除対象」となるのは、出産日が2019年2月1日以降の人です。そもそも『出産』の定義として、妊娠85日(4ヶ月)以後の生産(早産)・死産(流産)・人工妊娠中絶のことを言います。

この制度では、出産予定日(出産日)が属する月の前月から4ヶ月間の「産前産後期間」として、国民年金保険料が免除されます。なお、双子など『多胎妊娠』の場合では、出産予定日(出産日)が属する月の3カ月前から6カ月間の国民年金保険料が免除されることになっています。

例えば、2019年5月に出産した場合を考えてみましょう。この場合、免除期間となるのは上述のように出産予定日が属する月の前月から4カ月間なので、2019年4月・5月・6月・7月の国民年金保険料が免除となります。
国民年金保険料はその人の収入に関係なく「月額16,410円(2019年価格)」なので、16,410円×4=65,640円の保険料分の負担が減るという事になります。フリーランスにとって収入が途切れる可能性が高いこの期間に、この金額は少ないものではありません。

保険料が免除になっても、将来の年金額には問題なし

フリーランスの場合は妊娠や出産を機に仕事を休むとその間、無収入になってしまうことが多いので、保険料免除はとても喜ばしいことだと思います。しかし「免除は嬉しいけど、将来もらえる年金も少なくなるのでは?」と心配される人もいるのではないでしょうか。

でも、これに関しては安心していただいても大丈夫です。産前産後期間の「保険料免除期間」についての保険料は「納付したもの」とみなされるので、将来受け取る年金額への影響はありません

ちなみに、中には先に国民年金保険料を前納して支払っているという人もいると思いますが、その場合においては、きちんと申請することによって保険料は「還付」されるので申請漏れがないように気をつけましょう。

国民年金保険料免除の申請方法

免除申請のタイミングは、「出産予定日の6カ月前」から申請が可能となっています。申請先は、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の「国民年金担当窓口」となります。
申請書は2019年4月から年金事務所、または市(区)役所・町村役場の国民年金窓口に備え付けられていますし、Webページでもダウンロードができるので、ご自分にあった方法を選ぶとよいでしょう。

申請の持ち物は、「マイナンバー」「母子手帳」などが必要ですが、念のため、事前に確認しておくことが大切です。なお、申請は出産後でもできるようになっているので、妊娠中に体調が悪く、申請ができなかった場合などでも慌てなくて大丈夫です。

「保険料免除」というありがたい嬉しい制度ではありますが、制度は知っているだけで何もしなければ活用はできません。特に連絡がくるわけでもないので、自分で申請の手続きをしなければ何の意味もない制度となってしまうので、該当する人は忘れずに申請するようにしましょう。

まとめ

このように、少しずつではありますがフリーランスにも社会保障の手が回りつつあります。しかし、この制度のみならず、多くの「制度」は自己申告制です。該当するからと言って、自動的に制度の恩恵を受けられるわけではありません。
特にフリーランスの方は、これらの知識をしっかり身につけ、申請も自分で行う必要性が出てくるので、常に自分に当てはまる制度がないかアンテナを張る習慣をつけておくとよいかと思います。

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