【ディレクターになるには?】10の力/前編:見る力、コミュ力、積極性、実践力

「ディレクターになりたい!」を連発するデザイナーをたまに見かけますが、言うだけではディレクターにはなれません。自分でその力を示さないといけないでしょう。そのガイドとして参考にしてほしいのが今回のシリーズ。前回は、まずはデザイナー時代に身に付けておいてほしい7つのスキルを書きました。そして、今回はディレクターになる10の必要条件を書いていこうと思います。

筆者もそうですが、オールドタイプのデザイナーは絵が好きと言うところからスタートしている人が多いと思います。テクノロジーの発達とともに絵が描ける描けないはデザイナーの必須条件ではなくなり、別の出自のデザイナーも増えているようです。

さて、ディレクターではどうでしょう?
ディレクターとなると、もう完全に絵を描く才能とは別物のスキル、意識、そしてある種の要領が必要に思えます。

 

ディレクターに求められる『10の力』

ディレクターに求められる「10の力」、これら全てがないとディレクターになれないと言うわけではありません。
実際、ずいぶん偏ったスキルでディレクターを続けている人もいました。理想として求められる力とでも考えていただけば良いでしょう。筆者自身も自信のない項目がいくつかあります。

その観点では、70点ぐらい取れれば良いのではないでしょうか。
自信のある項目が7つ、あるいは平均的に10の項目が70%ぐらいできていると言うように。

1)見る力
2)コミュニケーション力
3)意欲・積極性
4)実行力・実践力
5)アイディア
6)知識・見識、そして情報収集力
7)テクノロジーの知識
8)マネージメント力
9)分析力
10)ビジネス視点

 

10の力と、7つスキル

10の力の前提として、前回の7つのスキルを紹介しました。
http://www.y-create.co.jp/forcreator/director_1st/
1)色のスキル  2)形のスキル  3)レイアウトのスキル
4)フォントのスキル  5)トレンドを読むスキル
6)正確なデータ作りのスキル  7)ミスをなくすシステム作りのスキル

これら7つのスキルを身につけて、その上で10の力を自分自身が持っているか考えてみるといいでしょう。

冒頭に書いた通り、様々な出自のデザイナーが誕生しているので、将来的にはこの7つのスキルに意味がなくなるかもしれませんが、現時点ではまだ7つのスキルは有効だと考えます。
また、部下の信用を得るためにも必要なスキルでしょう。

では、10の力の具体的な解説に入ります。
 

1)見る力

様々なものをきちんと見る力です。そんなことカンタンと言ってしまう人もいるかもしれませんね。

まず先入観なしで見る目。これに関してはあちこちで聞いて来たでしょうからここで長くは話しませんが、人間の目はとても騙されやすいものです。1つのイメージで見てしまうとそのままの像を見続けてしまいます。
これは、考え方に関しても同じで、一度1つの考えに捕らわれるとなかなか別の考え方に移れなくなる傾向があります。

そして、ディレクターにとって同様に重要なのは、物事を見抜く目です。イラスト、写真、そしてコピー。これらが進行中のプロジェクトにハマっているのか、否か?この判断はとても重要ですし逃げられません。

さらには、新人をはじめ、チームメンバーがどのくらい伸びたのかも判断することも必要でしょう。
また、上でおさらいしたデザイナーの7つのスキルに関しても、自身が作業を離れてもそれを判断できる目は維持しないといけません。

見るとは、いろんな意味で難しいことです。
 

2)コミュニケーション力

これもまた多様な面があります。コミュニケーションですから、伝え、受け取ることが必要です。

・伝える
誰しも、伝えることの難しさは経験したことがあるのではないでしょうか?自分の意図を明確に伝える。さらに曖昧なイメージを適切に思い描かせる。とても難しくなることがあります。自分と他人では同じ言葉にもズレた意味を感じてしまうこともあります。

苦手な人は論理的に言語化する訓練が必要かもしれません。

それ以前に、人と話すのが苦手なデザイナーも多く見かけます。必ずしも弾むように話したり、必要以上に相手を持ち上げたりする必要はありませんが、あなたなりのペースで話をする必要はあります。

・受け取る
相手の話を理解する力ももちろん必要です。そして、それだけでなくヒアリング力も重要です。話し上手と同じように聞上手と言われる人がいます。話しやすい状況を作り、相手の話を引き出す人です。大いに見習わなければいけません。

・説得力
伝えること以上の、説得する力が必要な場面はディレクターには多くあります。進行中はスタッフを説得して作業を進め、最後にはクライアントを説得して案を通すわけですから。

・物怖じしない態度
プロジェクトを成功に導く目的のために皆が集まっているわけです。立場、年齢に関係なく目的のためには発言するべきです。

日本人はこの部分が弱いと言われています。
しかし、プロジェクト終了後にごちゃごちゃ言うぐらいなら、物怖じせずにきちんと発言して欲しいと思います。

・プレゼン力
ここまでのことがある程度できれば、すでにプレゼン力はあると言えるでしょう。
プレゼンなんて恐くないはずです。テーブルを挟んで説明するのが、少し大きい会場になったと考えれば大丈夫です。最近のプレゼンには仕掛けを使ったものも多くありますが、あくまで装飾の部分ですから、基本のコミュニケーションがしっかりしていれば心配ありません。

プロジェクトの進行中において、クライアント、さらにスタッフとのコミュニケーションは非常に重要です(そもそも仕事とはコミュニケーションと言えるかもしれませんね)。Webやグラフィックのコミュニケーションの仕事では当然ですし、プロダクトの製品を作り上げる時も同じことです。

コミュニケーション力は、デザイナーでも必要ですが無くともなんとかなる会社もあります。しかし、ディレクターではより重要性が高まりますし、必須と言える項目です。
 

3)意欲・積極性

本来はデザイナーに必要なものだと考えていました。しかし最近では、待ち姿勢のデザイナーが増えたと言う声をよく聞きますので、ニュータイプのデザイナーには待ち姿勢もアリかと諦めました(笑)。

ですが、ディレクターに待ち姿勢はありえません
おそらくディレクターを目指す人はデザイナー時代から積極性を持っているとは思います。プロジェクト進行上も積極性を持って進めてほしいのですが、プロジェクト以外の様々な場面で意欲的に取り組むことがあなたをもっと素晴らしいディレクターに育ててくれると思います。
 

4)実行力・実践力

上の積極性と重なる部分もありますが、ここでは物事を実現化して行く力です。まずは自分なりに何をどう動かせば実現できるのか考えます。そして、失敗を恐れずにすぐに行動に移せる機動力が、実際に仕事では大きく影響します。

一方で、背伸びし過ぎずに謙虚に人に聞かないといけない場面も出て来るでしょう。過程においても結果においても、フィードバックを求め軌道修正は不可欠です。
試行錯誤を繰り返せば自ずとスキルが内に溜まり実践力が大きくなって行くでしょう。

実践する問題点については、後述の8)マネージメント力で示しますので、ここでは意欲・積極性に続き、物事を実現するための計画的な行動力ぐらいに捉えてください。

 

さて、10の力、残りの6つは次回の後編へと移ります。

実は、ディレクターは常日頃こんな力のことは意識していないと思います。ただ、ディレクションをする上で発生する問題を解決したり、プロジェクトをスムーズに進行させたり、または次の展開などをする際に「力」を発揮しているはずです。
これからスキルアップしようと思っている人は、ビビることなく、「こんなこともあるのかぁ」ぐらいから意識し始めてください。

【ディレクターになるには?】
第1回:まずはデザイナーの7つのスキルが重要
第2回:10の力/前編:見る力、コミュ力、積極性、実践力
第3回:10の力/後編:アイディア、見識、テクノロジーなど

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