【2018年度】グラフィックデザイナー平均年収調査

【2018年度】グラフィックデザイナー平均年収調査

2018年度における、グラフィックデザイナーの平均年収調査をいたしましたのでお知らせします。

※データ参照元
2018年4月~2019年3月までに株式会社ユウクリに登録されたグラフィックデザイナー・アートディレクターより算出。その他、転職サービスDODA「平均年収ランキング最新版」、国税庁厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を引用。

 

雇用形態別傾向

グラフィックデザイナーの平均年収を雇用形態別に見てみると、正社員392.0万円に対し、フリーランスは396.4万円とほぼ同等、非正社員は少し下がり314.8万円の結果となりました。

デザイナー職は一般職に比べると、雇用形態としてフリーランスを選択する傾向が高い職種です。年収面を見た場合も、正社員と同等の金額を得ることが可能な為、フリーランスという選択肢が取りやすいことがわかります。

非正社員(派遣)については、正社員・フリーランスに比べ低い年収となっています。派遣で働く場合、グラフィックデザイナーの時給相場はおよそ1700円前後で推移しています。(参考:ユウクリ6月時給調査
仮に時給1700円、1日8時間、週5日のフルタイムで働く場合、年収は330万前後となります。また、派遣就業の場合は、残業が発生すると基本的に残業代が全額支給となるため、その金額が年収にプラスされることになります。

一方、最近のトレンドとして、派遣就業には正社員で実現が難しい週3日勤務や時短勤務など、フルタイム未満の働き方を希望する傾向が強くなっています。その点を考慮すると、330万円より若干少ない314.8万円という年収額は、非正社員の平均年収として比較的想定し得る額であると言えます。

 

 

一般職とグラフィックデザイナーの比較

転職サービスDODAが発表する一般職の平均年収418万円と比較してみると、グラフィックデザイナーの年収は低めとなっています。
ただしアートディレクターの平均年収を調べてみると、正社員が507.5万円、フリーランスが492.5万円、非正社員が480.0万円と一般職の平均年収を上回ります。

デザイナー職は一般職に比べ年収が低いイメージがある傾向にありますが、実際に比較してみても若干ではありますが、低い形となりました。

また、全てにおいて下記に当てはまる訳ではありませんが、グラフィックデザイナーは後にアートディレクターへとキャリアを上げるケースが多くあります。
となると、グラフィックデザイナーはキャリアが若い層も含まれるため年収が低めに推移。アートディレクターは社会人としてキャリアが長い層がある程度を占めるため、年収が高めに推移している面も想定されます。

 

男女別平均年収

男女別で年収を見てみると、すべての雇用形態において男性の平均年収が高い結果となりました。

各形態別に見てみると、やはり正社員は一般的に言われているような問題・・・女性の場合、結婚や出産などのライフイベントとキャリアの継続の両立が難しいということが影響していると考えられます。

フリーランスは男性が405.2万円、女性が387.5万円と、正社員や非正社員に比べ男女の年収差が少ない傾向となりました。

正社員の場合、男女差はキャリアの継続の問題、管理職などに昇格できる/しにくいといった要素が年収差に表れやすいですが、フリーランスの場合は役職などによる年収差が出にくいことが1つの要因として考えられます。
また、雇用下での働き方に比べ、比較的働く場所・働く時間について自身の裁量で調整ができる傾向にあるので、女性でも収入を確保しやすいという面もあるのではないでしょうか。

非正社員は、前述の通り時給制での働き方が一般的であることから、年収差があるということは男性に比べ女性の就業時間が短いことがわかります。多くの女性は家庭や子育てのバランスから、年収よりも就業時間や条件などを重視する傾向が強いようです。

年収の高い雇用形態は男女によって異なり、年収順で並べると下記の結果となりました。

・男性:正社員>フリーランス>非正社員
・女性:フリーランス>正社員>非正社員

この傾向は、デザイナーをはじめとしたクリエイター独特の傾向かもしれません。「正社員で働きたい」という雇用形態重視の場合は難しいものの、「スキルを活かして働きたい」という観点では、意外と女性がワークライフバランスをうまく維持できる働き方ともいう見方もできます。

 

年齢別雇用形態

※20歳~24歳フリーランスのデータ無し

年齢とともに、正社員とフリーランスは年収も増加していることが分かります。ただ、20~30代においては正社員の年収が最も高く、40代以降はフリーランスの年収が高くなりました。

一方、非正社員については、一般的に年齢の上昇と時給の上昇は連動しないことが多いため、若干の前後はあるものの、全年齢帯において300万円前後での推移となりました。自身の求める条件重視で働くことは可能ですが、その反面、年収を上げていくことが難しいことが分かります。

 

まとめ

改めてになりますが、グラフィックデザイナーは一般職に比べるとフリーランスとして活躍している層が多い職種です。今回の調査を通し、収入額の観点、あるいは女性の働き方の選択肢としても、フリーランスとして働く、という選択肢が取りやすい環境が色濃く反映されたように感じます。

働く上では『年収と働きやすさ』の二つのバランスが重要となり、グラフィックデザイナーにとってのフリーランスは、そのバランスが取りやすい働き方です。

もちろん、フリーランスならではのデメリット・・・社会保障が少なかったり、自身で営業をしないといけない、などの不安定な部分もあります。その点では正社員がそのデメリットの受け皿となっている側面もあるでしょう。
また、アートディレクターの平均年収、あるいはマネジメント層になることによる年収増加等を考えると、企業に所属し、その中でキャリアアップしていくというのも堅実な選択かもしれません。

一方、契約という形で条件面を守られ、かつ自身のライフスタイルに合わせた条件で働ける非正社員(派遣)という働き方も、フリーランス・正社員にはないメリットがあるのも事実です。

グラフィックデザイナーはこのように働き方の選択肢が多い職種です。だからこそ、どのように働いていくのかビジョンをより具体的に考え、キャリアを形成し、働き方を選んでいくて必要があります。

 

クリエイターワークス研究所とは】

クリエイターワークス研究所とは、ユウクリの使命であるプロフェッショナルクリエイターを創出するための具体的なアクションの1つとして、「クリエイター思考・動向の理解」を掲げています。
この実現のため、クリエイターのキャリアビジョンや夢、転職動向、報酬動向など、クリエイターにフォーカスして、その実態を調査研究する機関を立ち上げました。

ユウクリでは引き続きクリエイターワークス研究所の各調査・研究を通して、クリエイターや企業に向け、クリエイターの活躍支援に必要な情報提供を行ってまいります。

https://www.y-create.co.jp/corporate/creatorworks/index.html

 

【データ引用元】
転職サービスDODA「平均年収ランキング最新版」
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」